こんにちは、リョウマです。
プロ野球、そして大リーグでも活躍し、その後は投手コーチとして活躍されている吉井理人さんの「最高のコーチは、教えない。」を紹介します。
こんな人にオススメ
後輩の指導方法に悩んでいる人
目次
吉井理人
現役時代
和歌山県の箕島高校から、1983年ドラフト2位で近鉄に入団します。主に抑え投手として活躍し、1988年には最優秀救援のタイトルを獲得しました。
1995年にトレードでヤクルトへ移籍します。すぐに先発で二ケタ勝利をあげる活躍を見せ、優勝に貢献。
1997年にFAを行使し、メッツに移籍します。メジャーでも二ケタ勝利を記録し、その後ロッキーズ、エクスポズへと移りますが戦力外となってしまいます。
2003年に日本球界に復帰し、オリックスと契約します。2004年は3試合の登板に留まりますが、2005年6勝、2007年には7勝と先発として活躍します。
ちなみに、仰木監督の一言がなければ、2004年で戦力外となっていたそうです。
2007年にトレードでロッテへ移籍。しかし、戦力外を受けてこの年をもって現役を引退します。
コーチ・解説者・監督
2008年に日本ハムの投手コーチに就任。監督が近鉄時代にバッテリーを組んでいた梨田さんだったということが、就任の決め手となりました。その後2012年までコーチを務めます。
2013、2014年は解説者として活動します。
2015年にソフトバンク、2016年に再び日本ハムのコーチに就任。
2019年に古巣のロッテのコーチに就任し、現在に至ります。
そして2023年シーズンからロッテの監督として、チームの指揮を執ることとなりました。
内容
最高のコーチは、教えない。
吉井さんの指導方法は、「教える」のではなく、自分の頭で考えさせるように質問し、コミュニケーションをとる「コーチング」という技術です。
なぜ、コーチが教えてはいけないのかというと、教えることによる弊害があるからです。
•経験、常識、感覚が違うためアドバイスが逆効果(自分ができるからできると思い込む)
•納得できないまま練習して、目的を見失う
•皆の前でミスの指摘をして、自尊心を傷つける
どれも部活をやっていた人なら、あるあると思うことばかりです。特に納得できないメニューで練習することほど、無意味な時間はないなと私も思っていました。
自分の考えを押しつけるのではなく、選手ときちんと向き合って対話することが大事なのですね。
「指導行動」と「育成行動」
コーチが行う指導は、選手個人のパフォーマンスを上げるための「指導行動」と、選手のモチベーションや練習の取り組み方、設定課題の質を向上させるための「育成行動」に分けられます。
指導行動
「指導行動」とは、技術的なスキルを教えることです。
ピッチャーでいうと「フォームを教える」、「トレーニングのやり方」などの専門的な知識の伝達が該当します。
会社員の場合だと、名刺の渡し方や、挨拶などの基本的なことが当てはまりますね。
技術的なことは人によってスキルや体の使い方が異なるため、一人一人にオーダーメイドで対応する必要があります。
キャンプ期間に臨時コーチが来たときに、選手にあった指導ができるのかは疑問がありますね。
育成行動
「育成行動」とは、心理的あるいは社会的な面において個人の成長を促すことです。
選手が自分でコントロールすることが可能で、失敗してもやり直しがきく課題を設定し、モチベーションを高めるのが育成行動の役割です。
「スポーツコーチング型PMモデル」
「スポーツコーチング型PMモデル」とは、パフォーマンスとメンテナンスという二つの側面から類型化したリーダーシップ論のことです。
先ほど紹介しました「指導行動」と「育成行動」を利用して、選手ごとに以下の4つの段階に分けられます。
<PM理論モデル>
(大) ↑
育成行動 |
育成型 指導×育成 |
指導・育成型 指導×育成 |
パートナーシップ
|
指導型
|
|
指導行動 →(大) |
第一ステージ 「指導型コーチングスタイル」
第一ステージの「指導型コーチングスタイル」は、初心者を対象とした「指導行動」を中心とする段階です。
対象は、野球でいうと2軍の高卒ルーキー〜3年目まで、会社員では新入社員〜3年目までとなります。
この段階では技術の基本を教えるため、コーチが考えたメニューをひたすらやらせます。技術の基本、小学生の九九の丸暗記のようなイメージで、基礎の基礎を叩き込んでいきます。
第二ステージ 「指導•育成型コーチングスタイル」
第二ステージの「指導•育成型コーチングスタイル」は、指導行動と育成行動の両方が必要となる段階です。
対象は、2軍で登板機会を与えられるようになった選手や、1軍に上がるもすぐに落ちる選手、ビジネスでは中堅社員、主任などの肩書きがつく前になります。
この段階は技術を上げると同時に、プライドもなぐさめ、モチベーションもあげなければなりません。そのため、コーチは最もエネルギーを注がなければならないステージです。
人の成功や失敗を自分ごととして捉えるようになり成長が促進されるため、何人かでチームを組ませるのがおすすめです。
第三ステージ 「育成型コーチングスタイル」
第三ステージの「育成型コーチングスタイル」は、中上級者を対象とした「育成行動」を中心とする段階です。
対象は、1軍に定着して実力はあるが調子に乗っている選手、プライドが邪魔している選手、会社員でいうと主任や係長、チームリーダーを担う20代後半~30代前半です。
技術は申し分ないため、育成行動を行います。へそを曲げてしまうことがあるため、相手の話を聞き受け入れつつ、説得や声かけを行うことが必要です。
第四ステージ 「パートナーシップ型コーチングスタイル」
第四ステージの「パートナーシップ型コーチングスタイル」は、上級者(一流・エース)を対象とした段階です。
技術的にも精神的にも成熟しているため、基本見るだけ、寄り添うだけになります。
しかし、何かあった時は対応しなければなりません。その問題が非常に高度なため、周到な準備が欠かせません。
ちなみに、吉井さんがコーチとして在籍した中でこのステージにいたのはダルビッシュ選 手、サファテ選手のみだそうです。
PMモデルはこの四つ分けて考えますが、実際の選手はきれいに四つに分けられるわけではありません。そのため日頃からの観察が何より重要となってきます。
あくまでPMモデルは「ものさし」として活用するのが大事です。迷ったときに確認するのがいいでしょう。
まとめ
吉井理人さんの「最高のコーチは、教えない。」を紹介しました。
選手が一人で思考し、試行し、判断し、決定できる能力を教えるのが、コーチングの大きな目的です。
そして、選手がなんでもできるようになって、コーチがサボってるように見えるのが理想となります。
PMモデルは指導するための指針となるので、ぜひ活用してみてください。
その他にもコーチングの三つの基礎、影響を受けた指導者(仰木さん、野村さんなど)に関するコラムなど指導に役立つ内容があるので、ぜひ一読してみてください。
ちなみ吉井さんはブログを書かれています。ロッテや馬(吉井さんは馬主です)の情報が知れて面白いので、こちらもご覧になってください。
はたしてこのコーチングによって、どんなチームづくりがされていくのか。吉井ロッテの躍進に期待しましょう!
ご覧いただき、ありがとうございました!