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【本紹介】「テレビ中継・球場で野球を楽しむ29の視点 野球のプレーに、「偶然」はない 」工藤公康

この記事でわかること

      ・工藤公康とは

      ・ピッチャーの投げ方による2種類のタイプ

           ・左ピッチャーは左バッターに強いのは本当か?

                ・ピッチャーがサインに首を振る理由

      

こんにちは、リョウマです。ソフトバンクホークス監督の工藤公康さんが書かれた野球のプレーに、「偶然」はない テレビ中継・球場で観戦を楽しむ29の視点 [ 工藤公康 ]を紹介します。2013年に出版されているので、監督就任前の著書になります。

この本では、野球観戦をもっと楽しむための29の視点が紹介されています。投手の視点、捕手の視点、野手の視点、打者の視点、ベンチの視点で構成されています。その中でも気になった視点を3つ取り上げます。

工藤公康とは

現役

名古屋電気高校から1981年ドラフト6位で西武に入団します。ルーキーから1軍に中継ぎで27試合に投げます。4年目には先発登板が増え、防御率2.76を記録し最優秀防御率のタイトルを獲得します。その後、1986年11勝、1987年15勝、1988年10勝と3年連続二桁勝利をあげます。1986年は26試合に先発し、23完投を記録しています。今では考えられないような数字ですね。

その後も好成績をおさめ、1993年には15勝をあげ、最優秀防御率、最高勝率、ベストナインを獲得し、パ・リーグMVPを受賞します。

1994年のオフにFA権を行使し、ダイエーへ移籍します。ダイエーでも先発で二桁をあげるなど主力として活躍します。

1999年には11勝をあげ、最優秀防御率と最多奪三振を獲得します。工藤選手の活躍もあって、ダイエーは福岡移転後初のリーグ制覇、日本一を果たします。この年のオフにFA宣言をし、子供の頃からファンだった巨人へ移籍します。ちなみにメジャーからのオファーもあったそうです。

巨人でも先発として活躍し、2004年には通算200勝を達成します。また、200勝を達成した試合で、プロ初ホームランを放ちます。なんと23年目41歳でのプロ初ホームランです。

2006年のオフに門倉投手がFAで移籍したことによる人的補償で、横浜へ移籍します。そして、移籍1年目から7勝をあげます。2009年は中継ぎに転向し、自己最多となる46試合に登板しますが、オフに戦力外となります。

その後古巣の西武へ移籍します。16年ぶりの古巣です。1軍で10試合に登板しますが、結果は残せず戦力外となり退団します。その後も現役続行の意思を見せますが、獲得に現れる球団はありませんでした。2011年はどこにも所属せず、現役続行を目指します。しかし。肩の故障が癒えず、2011年12月9日にブログにて、引退を表明します。2012年4月7日に古巣の西武にて、引退セレモニーが行われました。

プロ野球選手最長となる29年間の実働年数、23年連続勝利、通算224勝、最優秀賞防御率4回、最多奪三振2回、最高勝率4回など球界のレジェンドです。2016年にはプレーヤーとして、野球殿堂の表彰を受けています。

また、リーグ優勝14回、日本一11回経験しています。3球団で日本一になるなど優勝請負人と呼ばれました。

解説者

引退後は、解説者として活動します。栗山さんが日本ハムの監督に就任したため、後任として報道ステーションでキャスターを務めます。

監督

2015年からは古巣のソフトバンクホークスの監督に就任しました。報道ステーションのキャスターは監督になるというジンクスがありますね(栗山さん、工藤さん、稲葉さん。次は前田さんと憲伸さんに期待。)

就任1年目からシーズン、CS、日本シリーズを制し、完全優勝を成し遂げます。2016年は2位でしたが、2017年に再び日本一となります。2018•2019年は共に2位でしたが、CSを制し日本一になります。2020年は2016年度以来の完全優勝を遂げます。

監督6年間でリーグ優勝3回、日本一5回を達成しています。6年間で5回の日本一は凄すぎます。短期決戦の采配力の高さが際立っていますね。私はカープファンなので、2018年の日本シリーズでソフトバンクの強さを身をもって体感しました。工藤さんは、監督としても優勝請負人なんですね。

内容

ピッチャーの調子の良し悪し。投げ方による2種類のタイプ

ピッチャーは横軸回転で投げる、縦軸回転で投げる、の2種類のタイプに大きく分けられます。

  横軸タイプ 縦軸タイプ
身長(軸の長さ) 低め(軸が短い) 高め(軸が長い)
得意な球筋 上下のコントロール 左右のコントロール
得意な変化球 シュート、カットボール、横変化のスライダー カーブ、フォーク、縦変化のスライダー
代表的な選手 ホールトン(巨人)、永川(広島)、武田翔太(ソフトバンク) 杉内(巨人)、摂津(ソフトバンク)

2013年の本なので、懐かしい名前でいっぱいです。工藤さんも横軸タイプです。縦軸タイプはフォークなどの縦変化の球を投げやすくなります。一方、横軸タイプはスライダーなどの横変化の球を投げやすいです。

縦軸タイプは左右、横軸タイプは高低のコントロールがつけやすいです。なので、縦軸タイプは左右のぶれ、横軸タイプは高低のぶれで調子の良し悪しがわかります。

「左ピッチャーは左バッターに強い」の真偽

森福投手(ソフトバンク)、小林正人投手(中日)など左殺しと呼ばれるピッチャーもいる一方、左バッターに投げづらい左ピッチャーもいます。工藤さんも左バッターには投げづらかったそうです。最大の理由は、球種が制限されるからです。右バッターにはシンカーを投げていましたが、左には投げられません。

左バッターだと、インコースにシンカーを投げることになります。インコースだと的が小さくなるうえ、投げそこなうとデッドボールの危険があり投げづらいのです。インコースが投げづらいと、アウトコースが多くなり、バッターにヤマを張られてしまいます。そのため、左対左はインコースをいかにつけるかがポイントとなります。(内海投手はこれがうまい。)

このような理由から、左ピッチャーだから左バッターに絶対強いとはいえません。有利になるのは特徴のある(サイドハンドなど)左ピッチャーのみです。

キャッチャーのサインに首を振る意図

サインに首を振るのは以下の3つの理由があります。

  1. サインを回す
  2. その球種を投げたくない
  3. 「そこは打たれる」「危ない」と思って首を振る

1つ目の「サインを回す」は、ベテランピッチャーに多いです。わざと首を振って、バッターを迷わせることができます

2つ目の「その球種を投げたくない」は、甘く入って打たれるのが怖いということです。例をあげると、インコースのストレートで長打が怖いなどのケースがあります。そのときキャッチャーは他のサインを出す人もいますが、そのまま投げさせる人もいます。城島選手(阪神)はそのまま「投げてこい!」と、変えずに投げさせることが多かったようです。イメージ通りですね(笑)

3つ目の「そこは打たれる」「危ない」と思うのは、過去のデータやその打席での配球を考えて、イヤな予感がよぎるためです。2つ目のように「怖くて投げない」のではなく、「あえて投げない」という意味合いを持っています。

まとめ

工藤さんの 「テレビ中継・球場で野球を楽しむ29の視点 野球のプレーに、「偶然」はない」を紹介しました。

今回紹介した以外にも以下のような内容があります。

 

•ボールのキレとは何か

•先発向き、抑え向きの見分け方
•3割打てるバッターと打てないバッターの違い

•野球に「流れ」はあるのか

•ピッチャーの調整法(工藤さんの現役時代の調整法についても触れられています。)

 

本書は、基本的な野球の内容が易しく説明されいるように感じました。野球を見始めたばかりの人におすすめしたいですね。この本で野球の基本を抑えて、野球観戦をもっと楽しくしちゃいましょう。

ありがとうございました!